Malika
ベリーダンサーってキャラクターも踊り方も千差万別! 太陽のようにエネルギッシュに輝くダンサーもいれば、月のようにミステリアスな引力で惹きつけるダンサーも…今回は後者を代表して、都内&九州で活躍中のMalika(マリカ)に、色気漂う<目線>への意識について教えてもらいました。
●目線を外すのはお客さまへの<気遣い>
―これまで距離の近いレストランショーで踊ることが多かったので、自然とお客様から目線を外して踊るようになりました。やはり間近でダンサーから直視されると「怖い」「落ち着かない」と感じる方も多いかなと思って。私としても性格的に人見知りなところがあるので、目線を外す=相手と繋がりすぎず、自分の<内側>の感覚に集中したほうがリラックスして踊れるんです。
―<目線>は、基本的にそのとき動かしている身体のパーツを見ています。腰や指先、胸元…ダンサーが視線を送ってガイドしてあげると、お客さまも安心してダンサーの動いている部分を見てくださるように思います。
…とはいえずっとお客さまから目線を逸らしているわけではないですよ(笑)。オープニングでは必ず1人ひとりのお顔を見ながら登場しますし、ドラムソロやディスコタイムの時もしっかりめに目線を合わせて、強めの音のエネルギーをお客さまにお届けしています。
●憧れのダンサーの<目線>を研究
ー私が惹かれるベリーダンスは、自分の内側へと惹きこんでいくスタイル。今考えると、目線の使い方は、大好きなエジプトのスーパースター<ディーナ>の影響も大きいかもしれません。
初心者の頃たまたま手に入れたビデオで彼女を見た時、あまり大きくは動かずに内側に秘めて…でも隠しきれないものがフッと漏れ出てしまう感じがたまらなくて! 美しさの秘密を知りたくて、顔や腰の角度をコマ送りにして細かく研究していました。
―メイクも目を伏せた時にキレイに見えるよう、黒のアイシャドウで瞼にグラデーションを作っています。参考にしているのは小松芳(カリーマ)先生のメイク! またただの不機嫌な顔に見えてはいけないので、リップはきちんとラインを取り、常に口角をあげるよう意識しています。
●目の奥を意識→自身の感覚に集中!
―実は私はエネルギーを遠くに届けるのはあまり得意ではありません。大きなステージでのパフォーマンス前はいつもナーバスになっていましたが、海老原美代子先生から「ステージ上では背中側から物を見る」ことを教わってからは、目の使い方を意識することで少しずつ緊張感をコントロールできるようになりました。
イメージとしては
目の表層ではなく
<眼球の裏側>から見ること。
これは解剖学の先生から教えていただいたのですが、緊張すると目は意外と固まりやすく、物理的にも精神的にも視野が狭まってしまうそう。するとつられて身体も固まって、パフォーマーの焦りや緊張感がお客さまにも伝わりやすくなってしまいます。そんなときは目の奥から<会場の空間>や<背中=自分の身体の奥行き>を感じるようにすると、不思議と安心するし地に足がついて踊れるように思います。
レストランショーでお客さまと目線を合わせるときも、目線は<目の奥から>を意識しています。とくにお客様が楽しんでいるか気になって「伝えなければ」「盛り上げなければ」と焦ってしまうとき、ふっと目の奥行きを感じるようにすると、目の緊張が緩まって落ち着いて自分の<感覚>に集中することができます。
-「この音が素敵」
「いま気持ちがいい」etc.
踊っているときに自分の内側で味わっている感覚…それをお客さまも同じように体験していると感じることが多くて。だからお客さまに何かを届けようとするより、まず自分を心から楽しませたり心地よくすることを一番大切にしています。
ベリーダンスの<引力>。
面白くて奥深いところですよね。