Almaz of Cairo
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ベリーダンスをはじめたからには「いつかエジプトに行ってみたい」「本場の生演奏で踊るダンサーを観てみたい」という人も多いはず。しかしエジプトで女優・ダンサーとして活躍するAlmaz of Cairo(アルマズ・オブ・カイロ)は「行くなら“なる早”で!」と釘を指す。彼女が危惧するエジプトの現状とは…!?
●職人技!エジプト人バンドの魅力
-初めてエジプトで生演奏に触れたのはベリーダンスをはじめた翌年。ナイルグループ・フェスティバルに参加し、ガラショーでバンドを従えて踊るダンサーを見て「私もこんな風になりたい!」と直感。帰国後すぐにアラビア語を学びはじめ、2012年ダンサーとしてエジプトへ本格移住しました。
-生演奏のショーは、踊り手とミュージシャンとの共同作品。どんなショーを作りたいのか、どんな音で踊りたいのか…時には気に入ったパートを組み合わせたり、ショーの合間でもダンサーからの合図に呼応したりと、即座にリクエストを取り入れながら迫力ある演奏に仕上げてくるミュージシャンたちはまさに<職人>だと思います。
これは学校で学んだ知識だけでなく、数多くのステージ仕事を経験することで得た対応力あってのこと。とくに私は黄金時代のベリーダンスが好きなので、50代60代のエジプト人ミュージシャンとのやり取りは「かゆいところに手が届く」感じ。同じ感覚を持ったプロフェッショナルな同志とアイディアを出し合いながら、オリジナルのショーを作りあげていく醍醐味はエジプトでしか味わえません!
●いつまでもあると思うな エジプトの生演奏
-ところがこの5年間で情況はすっかり様変わりしてしまいました。
最大の理由はマハラガンの流行で、生演奏の需要が減ったこと。
2011年の「アラブの春」以降、生まれたマハラガンミュージック。ハングリー精神とエネルギーに満ちた音楽は若者の間で大変人気があり、今結婚式で流れる曲はマハラガンが中心です。彼らの主戦場はYoutubeなので音楽を流す際はDJが一人いれば十分。そもそもシンセサイザーの電子音で作られたマハラガンは生演奏には向いていないので、経費のかかる大編成のバンドは呼ばれなくなり、若いミュージシャンたちが現場を経験する機会はグッと減っています。
コロナ禍もまた、ミュージシャンの生活が苦しくなった一因です。ナイルクルーズ船やナイトクラブでは約2年間の休業を余儀なくされたのですが、エジプトでは補助金が支給されることはありませんでした。その後経営母体や運営方針が変わったところも多く、今やナイル川のディナークルーズの9割はCD演奏に。ちなみにマリオットやグランドハイアット、ラムセスヒルトンといった5つ星ホテルのナイトクラブでは、ベリーダンスのディナーショー自体が無くなってしまいました(今後再開されるかもしれませんが)。
加えてエジプト人の平均寿命は60代と、日本人の感覚からすると大変短い。深夜にハードな演奏仕事をしているベテランミュージシャンが急にこの世からいなくなってしまうことも、残念ながらエジプトではよくあることです。
●アルマズ厳選!ダンサー×生演奏の見どころ解説
-…とはいえナイル川ディナークルーズのなかにはバンド演奏を継続しているところもありますし、エジプト旅行中に生演奏で踊るスターダンサーを観る機会は<今ならまだ>間に合います!!
-ディーナは衣装や踊り方はもちろん、客のもてなしや現場での振る舞いも別格! いまは結婚式やテレビの仕事が中心ですが、運が良ければインターコンチネンタル カイロ セミラミスのディナーショーで観ることができます。彼女は長年同じ曲を踊ることで有名ですが、それゆえに演奏は先輩から後輩ミュージシャンへと長く引き継がれてきた良さがあります。
―ランダはその筋肉量をいかした踊りを魅せるための、タブラ奏者への指示が適格! ソライヤは曲のアレンジが素晴らしく、バンドの育て方がとても上手だと思います。
エジプト人好みのヒップワークを駆使した踊りが観たかったら、アジーザオブカイロ! 容姿や体つき、ヒップワークなどすべてにおいてエジプト人のツボを押さえています。ただ…これもエジプトあるあるですが、ダンサーによっては、場所や客によってショーの内容が大きく変わることがあります(笑)。見に行くときは、返信がきたらラッキーくらいの気持ちでDMしておくといいかもしれませんね。
-いずれにせよ、エジプトでは予定はあってないようなもの。お店に聞いても確実にそのダンサーを観られる保障はありません。
もしお目当てのダンサーがベリーダンスのフェスティバルに講師として参加しているのであれば、その日どこで踊るかを本人に直接聞いてしまったほうがよいでしょう。
●気軽に生演奏を体験!フェスのオープンステージ
-ほとんどの方はエジプトに滞在できる期間は限られていますよね。そのなかでも現地でしか習えない先生のレッスンを受けられたり、会場のホテルにいながらにしてステージをたっぷり堪能できるフェスティバルはやはりおすすめです。
また、フェスでは参加者がエジプト人バンドの演奏で踊れる機会も用意されています。今はコンペティションも多いですが、ビギナーさんでも挑戦しやすいのはオープンステージ!「まだはじめたばかりなのに…」と気後れしなくても大丈夫ですよ。海外からの参加者はベリーダンス歴に関係なく生演奏で踊ることを楽しんでいる方がほとんど。むしろ初心者大歓迎なアットホームな雰囲気です。
もしかしたら全然知らない曲がかかったり、演奏したパートの音を知らなかったりすることがあるかもしれません。そんなスリルも含めて、ダンサーとしてぜひ素晴らしいエジプトの生演奏を一番間近で体験してみてくださいね。