Michelle Bettridge
ダンサーにとって、SNSにアップする動画は大事な<ポートフォリオ>。この数年、作りこんだフュージョン作品を次々と発表しているMichelle Bettridge (ミッシェル・ベトリッジ)に、動画ならではの表現や制作時に意識していることを教えてもらいました!
●きっかけはコロナ禍のオンラインショー
―思い入れのあるステージ作品を形に残すため、構図・構成・編集…と細部まで作りこんだ動画制作に取り組んでいます。
最新作のテーマは<解放>。
自身の妊娠・出産をきっかけに「男女の違い」について考えるところがあり、固定概念を手放し、女性として生きる喜び=<女神>をイメージした群舞作品を作りました。今回の動画はステージ用に作った作品を、動画向けに再構築したものになります。
-はじめて動画制作にチャレンジしたのは2020年のこと。緊急事態宣言のためリアルなショーを開催できなくなり、<オンラインショー>で流すパフォーマンス動画を依頼されたのがきっかけです。
もともと私はネットに動画を載せる必要がなければ載せなくても良いと思っていました。でもコロナ禍をきっかけにさまざまなオンラインショーが開催されるようになって、それまで知らなかった海外の素敵なダンサーたちを発掘できたり…今は動画はダンサーにとって有効な自己紹介ツールだと考えています。
●リアルとは異なる<演出>ができる!
-例えば作品のコンセプトを伝えるイメージ映像を入れたり、動画の色味を変えたり、お客さんの目線ではありえない<お腹のアップ>や<真上>から撮った映像を加えたりと、ステージ本番のパフォーマンスとは異なる<魅せ方>ができるのが、動画制作の面白くて難しくもあるところ!
―とくに外部スタッフに依頼する場合は、表現の意図や認識にズレが出ないよう細かい部分まで丁寧にコミュニケーションを取るようにしています。アイディアは自分たちで出すこともあれば、撮影や編集をお願いした方から逆に提案をいただくことも。お互いに意見を出し合いながらそれぞれの視点や個性を活かすように心がけています。
●動画ならではの細かな配慮も…
―振付や踊り方、表情などは、基本的にステージ上のパフォーマンスと変わりありません。ただ、動画撮影の際は目の前にお客さまがいません。今ではだいぶ慣れましたが、とくに最初の頃は自室で音出しからパフォーマンス、編集まですべて一人で行っていたので寂しさを感じることも多かったです。
また、動画では同じパートを構図を変えて何度も撮影します。体力的には何とか頑張れる範囲ですが、あとで編集した際に動画のつながりが不自然にならないよう「メイクがハゲたりヨレていないか」「髪の毛が冠にひっかかっていないか」を都度チェック。また「一度外したアクセサリーをうっかり付け忘れた!」等ないよう、あえて休憩は取らずに集中して長時間の撮影に臨みました。
―あと基本的に私たちのフュージョン衣装は手作り。カメラが近くに寄ったときにアラが見えないよう、パーツ細部の処理にまで気を配りました。これは「見えないところは安全ピン」が活躍する、写真撮影やお客様と距離があるステージとでは大きく異なるところですね(笑)。
●仲間と一緒にインスピレーションを形に!
-作品のテーマはシンプルに「夏は海でいこう」「今年は辰年だから龍」ということもあれば、ステキな音楽や布に出会ったり、読んでいる本やSNSでのやり取りから気に入った言葉を見つけたり…日常生活のちょっとしたことからインスピレーションを得ることも多いです。
私は作りはじめたそばから次に作りたいもののイメージが次々と沸いてくるタイプ。作る作業自体も好きなので、いろんな作業を平行して行っていることもしょっちゅうです。
まだ幼い子供と過ごす時間も大切にしたい今は、長く一緒に作品作りに取り組んできた生徒たちの成長とサポートが本当にありがたくて! アイディアがとめどなく溢れ出る私に「…落ち着いてください」と諭してくれたり、悩んでいる時に「こうしては?」と意見をくれる、とても頼りになる存在なんですよ。