HORI
気合いれて臨んだ発表会! 写真映りがいい人といまいちな人の違いって何だろう? 15年間で延べ1万4000人以上のベリーダンサーを撮影してきたフォトグラファ―のHORI(ホリ)さんに仕事へのこだわりを聞いたら、その違いがみえてきました…!
●ステージに上がったら楽しんだモノ勝ち!?
-発表会写真は1枚1枚が勝負!
「写真うつり」に立ち位置などは関係ありません。
全身姿がいいのか、バストアップか、ローアングルから撮ってみようか、上からのアングルはどうだろうか…その人の体型や身長、衣装などもっともバランスよく見える<ベスト>な魅せ方を瞬時に考え、会場内を随時動きながら撮影しています。もちろん群舞の場合も、できるだけ一人ひとりがしっかり写るよう心がけています。
―ただ、なかには不安そうな顔をしていたり横や下を向いてしまったりする人も。笑顔になる瞬間を探して一人を追っていたら、曲が終わってしまって冷や汗をかいたことは何度もあります。
逆に「見て!見て!」「やれることはやったし後は楽しんじゃおう」という人は表情もいきいきとして、踊りの上手下手に関係なく…写真的に自然と撮影枚数が多くなってしまいますね。
●もともと<人>を撮るのは大の苦手!
-20代の頃は書店の店長をしながら趣味で月一回の写真教室に通い、もともと好きだった車やオートバイの写真ばかり撮っていました。
ある時、先生から<人物撮影>にも挑戦するよう薦められたのですが、そもそもモデルを頼めるような友達なんていない…。
そこでコスプレイヤーさんやアイドル(?)の撮影会に参加してみたところ、
「誰でも撮れる写真」
「自分がどこにもない」
と酷評されてしまいました。
彼女たちは撮影されるのに慣れているから、撮ってほしい角度やポージングを分かっている。僕はシャッターを押すタイミングまで見事に誘導されていたことに気付きました。
―はじめて
<ベリーダンス>に出会ったのもこの頃のこと。
様々なジャンルのミュージシャンやダンサーが即興で演奏や踊りを披露するイベントに参加したところ、たまたまベリーダンスのパフォーマンスを目にして、
「はじめて観る踊りだけど
なんて格好いいんだろう!」
と無我夢中でシャッターを押し続けました。
その後はご縁あってMAHAさんのレストランショーを撮影させていただきました。たった1m四方の小さなスペースで踊るMAHAさんからは「来てくれてありがとう」というおもてなしの気持ちやお客さんへの<愛>が溢れていて、やはり撮影しながらとても感激したことを覚えています。
―撮影した写真を
ダンサーさんに見せたところ、
「そこにいないし、見ていないのに場面を想像出来る。写真ってすごい!」という感想をもらってとても嬉しかった!
写真教室の先生からは
「チャレンジは常に大切で、考えて1枚1枚シャッターを切りなさい」という貴重なアドバイスをいただきました。
●撮影後はセレクトにセレクトを重ねて…
―やがて発表会やショー…
ベリーダンス撮影の依頼が次第に増えていきました。
とはいえ最初の頃は
「なんでこんな写真を撮ったの?」
とダンサーさんから直接ダメ出しを受けることも多かったですよ(笑)。
彼女たちから学んだのは、
写真をセレクトすることの大切さ。
表情は?
髪の毛は?
衣装がはだけていないか?
二重顎にみえないか?
よくない形でお肉が映っていないか?etc.
現在は1演目あたり
約200カット以上は撮影しますが、
納品するのはせいぜい10~15カット。
<撮られる側>の気持ちに配慮しながら
最低3回は悩みに悩んで納品する写真をセレクトするようにしています。
―ステージ撮影の経験値を積むほどに、
踊りに対するさらなる想いが自分のなかにも生まれてきて、じょじょにではありますが<自分ならではの瞬間>を撮影できるようになってきたように思います。
踊りはもちろんメイク、衣装、髪型…その日に向けて準備してきたのが分かるからこそ、「発表会に挑戦した甲斐があった」と気に入ってもらえる瞬間を写真におさめて、ダンサーさんの手元に届けたいですね!