一般社団法人
日本ベリーダンス連盟

コラム
2024.11.18

ベリーダンスの魅力を広く届けるために!
360度のステージから生まれるエネルギー

はるか

https://www.instagram.com/haruka_bellydance/

 

2015年にはじまったベリーダンスフェス&コンペ「TheONE」。その特徴は360度を観客に囲まれたステージ! 初回からステージディレクター、現在は事務局長を務めているはるか(ハルカ)にそのこだわりを聞いたら、ジャズダンスや日本舞踊、K-POP…幅広いジャンルのダンスに知見ある彼女が考える、ベリーダンスの<新しい形>が見えてきました!

 

●上から歓声が降ってくる!360度観客に囲まれたステージ

―360度のステージは、元・主人(TheONE初代事務局長/映像ディレクターの塚田智章氏)の発案。私がベリーダンスをはじめたら、主人のほうがベリーダンス鑑賞にハマってしまいまして(笑)。彼が別の仕事で360度ステージのある施設に出会い「これだ!」と。何はともあえれフェス会場を押さえたところからすべてが始まったんです。

 

 

-イメージは、
観客の熱量が中央に集まる<プロレス会場>。

 

私自身も、お客さまに囲まれて踊るレストランショーと違って、ステージで観るベリーダンスは質感・熱量ともに<距離感>を感じることが多かった。この形であれば、お客さまがステージ上のダンサーを<近く>に感じることができると確信しました。

 

実際、第一回のオープンステージ、トップバッターで踊ったフィオラナのメンバーは「上から歓声が降ってきた!」と大興奮! 出演者からは「振付が飛んだ」「帰る方向が分からなくなった」という声も聞きますが、「楽しかった」「逆にお客さまからパワーをもらった」という感想がほとんどですね。360度ステージだと観客を自分の世界観へと引き込みやすいのか、コンペでは<歌振り>に挑戦するダンサーが多いのもTheONEならではの特徴だと思います。

 

●ライブならでは!ステージと客席から生まれる高揚感

-ただ最初の会場は残念ながら使用できなくなってしまい…都内の公共施設には360度ステージを組めるちょうどいいキャパのところがほとんどなく、ようやく見つけたのが現在の会場である日暮里サニーホール。場所を移してからは<正面>を作らず、文字通り四方にお客さまや審査員を配置する形式で運営しています。

 

 

-これまで数多くの素敵なパフォーマンスが生まれましたが、中でも印象的だったのが2019年に和楽器のミュージシャンをお迎えして行った企画「Zipang-TheONE-」。<~和×ベリーダンス~>をテーマに、振付・構成はエヤマックスさんにお願いしました。

 

ダンサーたちはオーディションで選ばれたノンプロの方がほとんど。本番は生演奏だったこともあり、おそらくギリギリの状態のなかで駆け抜けるようにステージから発せられたエネルギーが素晴らしくて! 当然お客さまの歓声ももの凄くて、そこへさらに演者が魂で応えていく…ステージと客席との間の<相互作用>で高揚感が高まっていく様子は、まさに事務局の私たちが理想としていたものでした。

 

 

-もうひとつ、お客さまから過去イチの歓声があがったのが、2024年ゲストで招いたディヴィット・アブラハムのソロパフォーマンス。バラディでしっかり観客を惹きつけてからの、客席に飛び込んでとびきりの<ファンサービス>♪ 歓声と、ウットリと、思わずあふれる涙と…中にはディビットと見つめあうお客さまや逆に彼の接近に戸惑うお客さま、さらには客席の一角が一体となって「こっちに来て」とアピールしたりと、客席の生のリアクションを受けて場がより盛り上がりました!

 

 

●若い世代へ届け!時代に合わせたチューニングも取り入れながら

-私自身、360度ステージでパフォーマンスするときは、最初から<360度>専用の振付や構成を作ります。

 

大事にしているのは<立体感>!
例えばポーズは正面だけでなく後ろやサイド…どの角度から見ても美しくみえるか、ある面のお客さんが寂しくなることはないかを必ず意識するようにしています。

 

もう一つは<展開の早さ>。
私がリーダーを務めるトゥループ、アストライア最新のパフォーマンスでは、ベリーダンスの動きをいかしながらも細かいフォーメーション転換を取り入れた作品に取り組みました。

 

 

―これは360度ステージに限ったことではないのですが…
ベリーダンスはもともとソロで踊られるもの。群舞でも立ち止まったままで身体の動きを見せたり、全員でひとつの円を描いて移動することも多いですが、こうした俯瞰でみたときに動きの少ない<定点>のフォーメーションは、実は他のダンスではあまり使われていません。

 

とくにK-POPやHIPHOP…いま10代20代に人気のダンスは、踊りながら4カウント毎に次々と立ち位置が変わっていくものが主流。しかもフォーメーション毎に<誰にフォーカスするか>がはっきりしているから、MVはもちろん、ライブで観ていてもお客さんの視点が迷うことがない。これは構成としてもダンスの技術としても、実に素晴らしいと思います。

 

ENHYPEN (엔하이픈) ‘XO (Only If You Say Yes)’ Official MV (Performance ver.)より

 

-TheONEを立ち上げた10年前と比べると、
日本国内でのベリーダンスの認知度はあがっているし、全体のレベルは確実に上がってきていると感じます。

 

でも広くエンターテイメント業界からの視点で見ると、まだまだ<伸びしろ>はおおいにある!

 

私自身としては
何よりも<観客目線>を第一に。

 

そして古き良きものを大切にリスペクトしつつも、今の時代に求められる要素や他ジャンルのダンスの良いところも柔軟に取り入れながら、ベリーダンスの魅力をさらに広い層へと届けていきたいと思っています!

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