落合ユミ
https://www.instagram.com/yumihelwa/
エジプシャンスタイルを踊るならアラビア語って学んでおくべき!? アラビア語学習歴10年以上! 自らを<永遠の初級者>だと語る落合(オチアイ)ユミに、その難しさとそれでも学び続ける理由を伺いました。
●実践に接すると、急激に難易度UP↑
―ここ5年間はエジプト人のイハーブ先生から、オンライン講座でエジプト方言のアラビア語を習っています。先生は日本語も堪能なので、文法などの説明もすべて日本語で丁寧に説明してくださいます。受講生にはベリーダンサーさんもたくさんいらっしゃいますよ。
―アラビア語の学習暦はもう10年以上…
最初に学んだのは<フスハー(正則アラビア語)>。これはいわゆる書き言葉で、イスラム教の聖典クルアーンはじめ新聞やニュースなど、アラビア語が使われている国々共通で使われているものになります。日本人の先生から習ったのですが、とにかく文法が複雑で、規則正しく細かなルールが決まっていることに驚きました。その後「やっぱりエジプト人と話せるようになりたい」と思い、<アンミーヤ(方言=話し言葉のアラビア語)>に転向しました。
―長く学んでいるので、定型の<挨拶>の言葉などはスラスラと出てくるようになりましたが、いざフリーの会話となると先生の言葉を<聞き取る>のも自分から<話す>のも本当に難しくて! アラビア語では主語によって動詞の語頭&語尾の音が変化するのですが、瞬間的に言葉を理解できなくて毎回レッスンではクラスメイトともども苦戦しています。
<文字>も教科書と同じ字体であれば読めるのですが、いざエジプトへ行くと手書きのメモを受け取ったりお店の看板もカリグラフィー(装飾文字)で描かれていたり…そんな時はそもそも文字の判別すらできずお手上げ状態になりました。
-それでも辞めずに続けているのは、
何よりネイティブの方が話す
アラビア語の<響き>が好きだから!
「ヘルワ(可愛い、美味しいの意)」とか「サハッ?」とか「タマーム!」(共にOKの意)とか…先生の何気ない相づちも耳に心地よくて、レッスン中ずっと聴いていたいと思うほどです。
●たくさんの<学ぶ喜び>に出会える!
-エジプトでは、ホテルやベリーダンスのフェスティバル会場でのコミュニケーションは基本的に英語。タクシーもカイロではUber(アプリによる配車サービス)が主流だし、いざというときはスマホの翻訳機能もあるので、旅行中にアラビア語が分からなくて困ることは少ないです。
エジプト人の知り合いに頑張って話しかけてみても、私の拙いアラビア語に付き合うのがちょっぴり面倒なのか(笑)、英語で返事されることがほとんど。
とはいえダウンタウンではアラビア語しかできない人に遭遇することもあり、たとえばカフェでシーシャ(水煙草)の炭を持ってきてくれる人に直接リクエストを伝えたり、急きょ利用した流しのタクシーの運転手さんの話(のごく一部)を理解できたりすると、アラビア語を学んでいてよかったなと思います。
―普段でも学習熱が高まった時にNetflixでエジプト映画を見てみたりするのですが、英語/アラビア語で字幕を表示しながら何度もセリフを繰り返し、知っている単語やフレーズを聴き取れるとホントに嬉しくて! こうした「わかった!」「あ、そうか!」の積み重ねって、<学ぶ喜び>そのものですよね♪
●曲のイメージがぐんと広がる!歌詞講座
-ダンサーがアラビア語を学ぶもう一つの理由に「アラビア語の歌詞を理解して踊りたい」というのがあるかと思います。これについては、いろいろな先生が主催している<歌詞の解説講座>を受講してみることをおすすめします。
そもそも自力でアラビア語の歌詞を翻訳するのは非常に難易度の高い作業…。今はインターネットで検索すれば、有名な歌の英訳はすぐに見つかりますが、単に言葉を訳しただけでは意味が分からないことも多いですよね。
なぜなら、エジプトのクラシックソングは一種の<詩>のようなもの。「なぜその言葉を使ったのか」「ここでこういう言い回しになるのはなぜか」etc. 日本人の私たちには分からない、言葉の裏にある文化背景を知ってはじめて理解できることも多くあるんです。
たとえば有名なクラシックソング「レッサ・ファーキル」「ホッブ・エー」などは、講座を受ける前と後では曲のイメージがガラっと変わったほど! アラビア語の単語も覚えられるし、日本人・エジプト人を問わず<感性>の合う先生を見つけられると、曲のイメージが膨らんでとても楽しいですよ。
●それでもやっぱり…アンミーヤ学習にこだわる理由
-今年、約6年ぶりにエジプトを訪れました。実はもう少ししゃべれるようになっているかと期待していたのですが…やっぱりネイティブのスピードは速くて聴き取れないし、思うような言葉も口からなかなか出てこなかったです。
―アラビア語を学ぶことはとても楽しい。
前述したように、アラビア語が分からなくてもベリーダンスは踊れるし、エジプト旅行も問題なくできます。
でもやっぱり私は
エジプト人とアラビア語で会話できるようになりたい!
これはもう単にダンスのためではなく、
ベリーダンスをきっかけにエジプトという国を知り、大好きな音楽や芸術に出会ってしまったから。そしてこの素晴らしい文化をもっと深く知りたいと思えど、言葉が分からないことには何か薄い幕越しに憧れの世界を覗きみているような…<お客さま>扱いを超えることはできないと分かってきたからです。
10年間エジプトに住んでいる日本人の友人の愚痴話を聞くと、エジプト人と本音で接するということは「好きなだけじゃいられなくなるかも」という不安も多々あります。
それでも私の目標は
<脱・永遠の初心者>!
いざ話そう&聴き取ろうとすると難しくて、途方に暮れてしまうんですけどね。この片思い、一体どうしたらいいんでしょう!?!?