NAAYA
https://naaya-bellydance.carrd.co/
レッスンやワークショップで色々な曲や振付に触れられるのもベリーダンスの楽しみのひとつ。ただ一方で「次のハフラでは何を踊ろう?」と頭を悩ませたり、他の人と被らない曲選びに必死だったりする人も多いのでは? 今回は「レパートリーは少なくていい」と言いきるNAAYA(ナーヤ)。エジプトの音楽を愛し近年は生演奏でのショー出演も多い彼女がそう考えるようになったきっかけや価値観の変遷をじっくり語って頂きました――。
●次々と新曲にチャレンジ!焦りを感じていた駆け出し時代
―食べ物や音楽、映画etc.
そもそも私は一度好きなものを見つけると、何度もリピートする傾向がありまして(笑)。
例えば料理のレシピは同じでも、自分の体調や気分、野菜の鮮度などによっても<味>の感じ方は毎回少しずつ変わりますよね。お店によってはその日の天候等により調味料の配合を変えたりしているところもあるから、飽きるどころか「今日はどんな<美味しい>体験ができるんだろう」とますます興味が沸くんです。
踊りに関しても、
レパートリーを増やすより、コレと思った一曲を繰り返し踊り深めたいと考えるようになったのは、こうした感覚に近いものがあるように思います。
子供のころからバレエやジャズやいろんなダンスをやっていたのですが、そのころから好きな曲は「この曲だけ何度も踊りたい!」と思うことが多かったです。とくにバレエでは、ある一定の期間同じヴァリエーションをひたすら踊り続けて、深めていくということが普通だったので、同じ曲を踊り続けることに違和感はありませんでした。
でも、ベリーダンスで
プロ活動をはじめた直後の私は
むしろ<正反対>。
レストランショーでは定期出演していたお店も多かったこともあり、周りのダンサーさんたちと自分を比べて「いつも同じ曲を踊るわけにはいかない」「レパートリーを増やさないと!」とごく自然に考えるようになりました。また、インストラクターとしても「いろいろ習えて楽しい」という生徒たちの声にこたえて所属スタジオのレッスンでは次々と新曲を扱っていました。新しい振付を仕入れたくて必死だった時期もありましたね。
たくさんワークショップに参加したり新しい振付を習ったり踊ったりすることをけっして否定するわけではありません。でも、当時の自分のなかでは、ダンサーとしてもインストラクターとしても、十分に消化しきれないまま次々と曲を<消費>していくような感覚に陥ることが次第に多くなりました。
●ダンサー人生を変えた運命の一曲、そして2人の<師>との出会い
―転機は今から15年前、
世界的振付師Yousry Sharif(ヨースリー・シャリフ)氏との出会いがきっかけです。
エジプトのナイルグループフェスティバルで彼のWSを受け、まるで音と音との合間を楽しむような、音楽が生きていると感じさせる彼の<振付>に大きな衝撃を受けました。
ひとめで大好きになり帰国後すぐにステージで踊ったところ、振付の表面的な部分だけをなぞっているようで、自分が感じた「音楽の素晴らしさ」を踊りで表現することはできませんでした。その後も何度もレストランショーで踊ってみましたが、踊れば踊るほどにまだまだ消化しきれない部分があるようで、しかもそれが<何>なのかさえ具体的には分からなかった…!
しばらくの間はモヤモヤした思いを抱えていましたが、やはりもっとヨースリーに学びたいという気持ちが固まり、フリーランスとなってニューヨークへ。日本に戻ってからは松屋伊那子(まつやいなこ)先生に彼から習った振付を見ていただくようになりました。


―いなこ先生は、
まさに私が求めていた
「一曲を深めていく」教え方をされる方。
プライベートレッスンでは
WSの最中に自分がキャッチできなかった部分が、いなこ先生のご指導やアドバイスでクリアになっていき、
「あ、ここにも音がある」
「ヨースリーはこの音をとってるんだ」
といった気付きが
毎回のようにあります。
すると次は
「先生がおっしゃる音が、
わたしには聴こえない」
という絶望を感じたり、
「音は聴こえるのに
身体の動きが間に合わない」
とジレンマに陥ったりすることも。
…こういうときは、
ただひたすら
音楽を聴いて「踊り続ける」しかない!
そうした時間は当然苦しくはありますが、
「難しい振付だから何度も踊って身につけたい」というよりは、振付や音楽と触れ合う時間を苦しみつつも「楽しんでいる」という感覚のほうがより近いかもしれません。
●踊りも音楽も<生もの>!何回踊っても同じものにはならないからこそ尊い
―ヨースリーから新しい振付を習ったり、(ダンスに限らず)様々なことを学んだり経験したり…
するとあるときふと過去の<振付>への理解が深まったりより鮮やかに感じられたりする経験をしたこともあり、一つの音楽や作品を深めるだけでなく、同時に学び続けることも本当に大切だと改めて感じます。
―とくにこの数年間は
生演奏のショーに取り組んだり
アラブヴァイオリンを習ったりと旋律楽器やマカームへの理解が深まったら、少しずつ自分自身の音の聴き方に変化が出てきたように思います。
例えばCDの演奏でも、
奏者さんの息遣いを感じられるようになったり。そうすると録音されたCD音源のはずなのに、不思議と毎回同じようには聞こえないんですよね。
取り組むほどに新しい発見や新たな課題も見えてきますが、やはり繰り返し踊るからこそ出る<深み>はあると今は確信しています。

―初めてヨースリーのWSで習った振付は
私のダンサー人生で
もっとも人前で繰り返し踊っている曲となりました。
練習が自分と向き合う時間だとすれば、
お客様さまの前で踊るショーは
作品として<育てる>時間。
お客さまと対峙することで、
ベリーダンスは「生きた芸術」としてはじめて完成に近づく。これはエジプトの「タラブ(観客との共鳴)」にも通じるものがあるように感じています。
その日の天候、
会場の規模、
音響設備、
自分自身の体調やメンタル
会場の顔ぶれ…
そんななかでも、
●いかに自分が理想とする表現に近づけるか
●お客様に楽しんでいただける表現は何か
と<踊り>を模索することは、お客さまが目前にいるパフォーマンス中にしか成し得ないこと。同じ演目でも「その都度違う表現になっている」と気付くことで、作品はより深まっていくように思います。
…私は「大好きな先生方が創る世界観を表現できるダンサー」でありたい。
まだ到底「分かった」とはいえないし、けっして楽しい/面白いだけではなく悔しいことやもどかしいこともたくさんありますが、そもそも「これは特別!」と感じられるものに出会えたのは<奇跡>のようで、とても幸せなこと。一生かけて育てていくという気持ちでこれからも学び、大切に向き合い続けていきたいと思っています♪
※以下、どちらも『Habibaty Man Takoun』(振付:Yousry Sharif)
●2017年:
●2024年:













