バービーマコ
身体を鍛えて、辛いレッスンを乗り越えて、でもステージではにっこりと…そんな<ダンサー×根性論>はひと昔前のもの!「若い頃より今のほうが調子がいい」と語るバービーマコに、年齢を重ねても第一線で活躍し続けるための秘訣を伺いました。
●怪我に悩まされた20代30代
―モダンダンスをしていた時にぎっくり腰、その後ベリーダンスに出会ってからは膝痛と長年怪我に悩まされてきました。また、ショーとなるとつい気持ちが先走って暴れてしまうことが多く(笑)…翌日、身体のどこかしらに痛みが出るのも仕方ないことだと諦めていました。
私はもともと筋トレしても筋肉がつきにくいタイプ。ディーナやランダのように生まれながらに筋肉や骨格がしっかりした体格ではないし、大好きなゴールデンエラのダンサーのように筋力をいかしてしなやかに動こうとしてもなかなか思うようにはできなかった。
そして身体に無理のある動きを続けていたことが怪我や痛みにつながっていたと知り、まずは正しい動き方を理解する必要があると考えるようになりました。
●全身をゆるめながら…自分に合う踊り方を発見!
―最初はカナダの故ハディアに「ベリーダンサーのための解剖学」を学びました。この動きはどこの筋肉を使ってどう動かすか、なぜ力を抜くことが大切なのか…自分自身はしっかり理解できたものの、解剖学の理論をベリーダンス初心者の皆さんへお伝えするのがちょっぴり難しくて。あれこれ模索しているとき、元バレエダンサーが考案したエクササイズ「ジャイロキネシスⓇ」に出会いました。
―ジャイロとは円や螺旋のこと。
椅子や床に座って全身をさまざまな方向に縮めたり伸ばしたりするうちに身体が満遍なくゆるまり、とくにベリーダンスの<即興>が踊りやすくなるのを感じました。これなら、エジプト人と比べて筋力の弱い私たちが踊るときに意識したい<力を抜きながら身体を使う>感覚が身につくと思い、さっそくインストラクター資格を取得。レッスンのなかではベリーダンスのベーシックのムーブメントや振付の前段階として、ジャイロキネシスのエクササイズを取り入れています。
―生徒さんからは「日常生活そのものが楽になった」「レッスン後も疲れにくくなった」「アンダーバストからウエストにかけてメリハリがついた」と好評です! 身体の使い方が変わったおかげで、私自身も若い頃よりも50代を過ぎてからのほうが即興のような自由度の高いパフォーマンスに身体を預け、身体で魅せられるようになった感覚があります。
●コンテンポラリー×ベリーダンスの融合に挑戦!
-先日の発表会では、ジャイロキネシス特有のスパイラルな動きを取り入れた群舞の作品を振付しました。深く身体をねじったりカールさせたりアーチを描いたり…日本人の身体の美しさ、しなやかさをいかした抽象的な動きを取り入れつつも、ベースはしっかりエジプシャン! 1900年代エジプトのダンサー「アルメー」をテーマに、音楽はアラブ人演奏家にアレンジをお願いしました。
年齢を重ねても、踊れば踊るほど身体が生き生きとしてくるのもベリーダンスの魅力のひとつ。パフォーマーとして、振付師として、インストラクターとして。これからも踊り続けながら、美しくヘルシーなこのエンターテイメント芸術の素晴らしさを伝えていきたいと思います。