Lana/Skrchynska Svitlana
https://www.instagram.com/lana_design_japan
舞台映えするデザイン、着心地の良さ…プロダンサーに人気の衣装デザイナーを多数輩出するウクライナ。ベリーダンスの本場とは少し異なる東ヨーロッパの一国で、こんなにも衣装作りが盛んなのは何故だろう? 今回はウクライナ出身で、自身も衣装のデザイン~制作を手がけるLana(ラーナ)に、その背景を教えてもらいました!

●母から娘へ!幼い頃からダンスと裁縫は身近な存在
―トルコなら飛行機で1時間、ヨーロッパまでも3時間半ほど。私の祖国ウクライナは、もともと地理的には最新の生地やクリスタルといった素材類を入手するには恵まれた場所にあります。
何よりウクライナではステージ芸術が盛んで、多くの子供が幼い頃から<ダンス教育>として、民族舞踊とその基礎となるクラシックバレエを習っています。ただ、ステージ衣装は買うと高いし、デザインの選択肢も限られてしまう。大抵の母親は日頃からミシンや型紙の扱いには慣れていることもあり、気合を入れてステージ衣装を手作りしています。やがて子供が成長して興味を持ったら母親から手ほどきを受けて…そんな循環もあり、ウクライナには多くの優れた衣装デザイナーが活躍しています。

―私の場合は4歳で民族舞踊をはじめ、その後フィギュアスケートに転向。選手としてナショナルチームに選抜され、オリンピックを目指していました。
母お手製の衣装はもちろんですが、スケートリンクは冷えるので、練習のときはいつも母が編んでくれた防寒用のレッグウォーマーやニットを着ていましたね。また母からは<針と糸>を渡され、バレエシューズや衣装が壊れたりほつれたりしたら、自分で直すように躾けられていました。おかげで基本的な裁縫スキルは幼い頃から自然と身に付けることができました。

―本格的に衣装デザインについて学んだのは、国立の舞踊大学「Kiev National University of Culture and Arts」在宅中のこと。標準カリキュラムのなかで、照明やステージで映える衣装のデザインやその作り方といった専門知識を勉強しました。ウクライナ出身のダンサーで衣装を作れる人が多いのは、こうしたダンス専門の高等教育制度があるからなんですよ。
…ただこうした環境も、長引く戦争の影響ですっかり変わってしまいました。
デザイナーのなかにはミシンも住むところも失い、海外移住を余技なくされた人も多くいます。またデザインへの創造力を膨らませるにはメンタルの安定は欠かせません。ウクライナに残って、日々警報が鳴るなかで美しい衣装制作を続けているデザイナーたちは本当にタフで素晴らしいと感じます。
●長時間ソロで観客を魅了するために…ベリーダンス衣装に求められること
―その後レバノンで事業を営んでいた父の影響でアラブ文化全般に興味を持ち、ベリーダンサーとしてのキャリアをスタートさせました。

―ベリーダンスが
他の踊りと比べて特徴的なのは、
ダンサーがソロで踊る時間が比較的<長い>ということ。
とくに生演奏の場合は
ステージ時間が10分以上になることもあるので、シンプルな衣装ではお客さまは飽きてしまうし、かといって装飾がキラキラしすぎても目が疲れてしまいますよね。
そこで
ベリーダンス衣装をデザインする際は、角度によって魅せ方を変えたり、スカートさばきで動きを加えたり…お客さまが長時間見ていても楽しめるような、ちょっとした仕掛けを取り入れるようにしています。
●年齢や人生経験によっても変わる!世界に一着だけの衣装
―2003年に来日した直後は
自分が着る衣装だけを作っていましたが、次第にクチコミが広がり、現在は<完全オーダーメイド>という形で制作依頼を受け付けています。

―デザインはすべてオリジナル。
同じダンサーさんでも、年齢や人生経験によって似合う衣装は変わります。最初の打ち合わせでは実際に動いていただき、その時の踊り方や身体のライン、その人の雰囲気etc.からインスピレーションを得てこちらからデザインをご提案することも多いです。

―実は私としては
衣装のほうが「勝つ」くらいの意識でデザインを考えるのですが、いざダンサーがステージにあがると「衣装に負けじ!」と輝きを増す瞬間に出会えるのがとても嬉しい! やはり衣装はダンサーの<動き>あってのもの。踊りと衣装、照明、観客…すべてが調和しながらお互いにエナジーを高め合う様を目にすると、改めてこれは「生きた芸術」だと感じます。
―制作期間は少なくとも1.5~2か月。
パーツの一部はベリーダンス経験者でもあるスタッフにお手伝いをお願いすることもありますが、基本的に制作も私自身で行います。理想に合う生地を集め、イチからデザイン案を考え、試着後に再度調整を加えて…と細かいところまでこだわりを詰め込んでいると、どうしてもある程度の時間はかかってしまいますね。
でもダンサー&インストラクター業と平行しながらの衣装作りは自分には合っているようで、レッスンの合間など少しでも時間があれば作業をしています。何より楽しいし、不思議なもので踊って疲れた身体や活性化した脳内が、いったん<衣装作り>に集中することでスッと落ち着いてリフレッシュできる! 時には没頭しすぎて「…もう終電の時間!?」と驚くことも多いんですよ(笑)。














