小松芳/Karima
https://www.graphova.jp/karima/
エジプトの人々にとっての「踊り」」って? 2年間のカイロ留学を経て、エジプシャンスタイルのベリーダンスとフォークロアを日本に根付かせたKarima(カリーマ)に、観光やフェスティバルで訪れただけでは分からないエピソードを教えてもらいました!
●イスラム教では踊りは禁忌、でも実際は…
-とにかくエジプト人は踊りが大好き! イスラム教で踊りは「ハラーム(禁忌)」、宗教的には禁止されていますがあくまでそれは建前。人々が集まるパーティーでは、踊りと音楽は欠かせない楽しみとなっています。
-とあるパーティーで、<女優の卵>みたいな子たちの踊りを見たことがあります。ダンサーではないから正直テクニックはたいしたことないのですが、歌と一体になるというか…気持ちの入り方が素晴らしくて! 「心で踊る」のはこういうことかと痛感しました。
●仕事の合間のちょっとした楽しみに
-衣装デザイナーの工房で働く<お針子さん>たちも踊りがうまかった! コスチュームを着て動いた時の見え方を確認するため、彼女たちが試着して踊ったりしていたようです。
私が衣装の最終チェックに行くと、日本製の大きなカセットデッキから音楽が流れてきて即興バトルがはじまります。すると工房の人々がどんどん集まってきて「アイワ!アイワー~(そう、その調子)」なんてはやし立ててきました。
なかでも今は衣装デザイナーとして活躍中のハナーン、通称「タウィーラ(のっぽちゃん)」は踊りもフィッティングも上手で、工房のリーダーのような存在でしたよ。
●大歓声のなかお手伝いさんとコンペ
-ダンスバトルといえば
<シャッガーラ(お手伝いさん)>から挑まれたこともあります(笑)。
彼女たちは自宅で行われる結婚式のもてなし料理を作るために集まっていたのですが、ちょっとした休憩のときに誰かが「カリーマはレダ舞踊団なのよ」と噂話をはじめると、
「あら、踊りなら負けないわよ」
とばかりに、仁王立ちのお手伝いさんがものすごい迫力で腰をぶんぶん振りながら、私に迫ってきました。
「ヘッズ ヤカリーマ!
ヘッズ ヤウェッザ!」
(もっと腰振って、ガチョウちゃん)
休憩中ですから、音楽なんてもちろんありません。マハシなどのお料理をキロ単位で作った後だから当然疲れているはずなのですが、そこにいた女性たちはわぁわぁ大騒ぎ! なかには床を転がって笑っている人もいましたね。
●踊りは習うのでなく「マネる」もの
-エジプトの子供たちは、踊りの上手な大人をマネして踊りを身につけます。
日本では踊り=お稽古事のイメージが強いですが、エジプトで踊りを習うとしたら私立学校の体育の授業でフォークロアダンスを習う程度。バレエ教室もあるにはありましたが、子供を通わせたりするのはごく一部のハイクラス層だけです。
(私がバレエ教室で見たお嬢様は、お世話担当と振付を覚える担当…二人(!)の従者を従えてレッスンに来ていました)
-スヘールザキ、フィフィ・アブド、ナグワフォアード、ルーシー、モナサイード、アッザシリーフ……私もエジプト留学中は、何度もナイトクラブに通ってはダンサーの踊りをマネしていました。
今のようにスマホで気軽に動画を撮れる時代ではありませんから、ショーの間はダンサーを観ることに集中。そして明け方アパートに戻ったら、記憶が鮮明なうちに彼女たちの踊りや振る舞いを思い出しては踊ってみるんです。
とくに好きだったのはフィフィ・アブド! 今も踊りの雰囲気がよく似ているとよく言われるんですよ。