Milia
単身トルコのショービズ界へ飛び込み、ダンサー&女優としても大成功をおさめたMilia(ミリア)。観光客向けではなくトルコ人が集まるナイトスポットで長く踊っていた彼女だからこそ分かる、現地のベリーダンス最新トレンドを教えてもらいました。
●人との出会いが連なり…ダンサーとしてあっという間の9年間!
―トルコへ渡ったのは<ターキッシュロマ>を学ぶため。彼らの日常にはいつも音楽や歌があり、ただおしゃべりしている時の手の動きさえまるで踊っているかのよう。知れば知るほど、この空気感は1週間や10日間の滞在で簡単に学べるものではないなと悟りました。
当初滞在は1年の予定。
トルコ語の学校へ通いながらロマの生活に触れるのが目的でしたが…気づいたら9年間! ロマの集落で新聞記者の方に出会い記事に取り上げられたことがきっかけとなり、主演女優として映画に出演するという貴重な経験もさせていただきました。<トルコの一番大きなステージで踊る>という目標を達成できたこともあり、日本にターキッシュロマを広めながら将来に向けて新たなチャレンジをはじめるべく、2023年日本へ本格帰国しました。
―トルコでのダンサーのキャリアはクルーズ船から。船のメインダンサーが休みの週1日はオリエンタルを、あとの週5日はグループでロマとフォークロアを踊っていました。
仕事が決まってから本番まではわずか3日間…私はフォークロア未経験だったので、必死に約1時間のメドレーショーの内容を覚えました。ちょうどトルコが政情不安で観光客が激減していた時期に、ショーを開催していたクルーズ船は貴重な存在だったんですよ。
―その後は友人の紹介で、オリエンタルのグループショーで有名なナイトクラブへ移籍しました。ここで出会ったのが、男性ベリーダンサーのジャネル。彼とこだわって作ったデュオショーは大好評で、当初単発の予定がレギュラーショーへと昇格! その後二人でフリーとなり、私の本帰国まで<ダンスパートナー>として長く活動を共にしてきました。
●ド派手な演出が売り!トルコ人が集まる巨大ショーホール
―私たちが主に踊っていたのは、「ジャーヒデ」というイスタンブール最大級のナイトクラブ。リッチな空間でさまざなショーを見ながら食事とお酒を楽しみ、最後は自分たちも踊れるという人気の夜遊びスポットです。デートやとっておきのイベントの日にお洒落をして訪れて一晩中過ごす…トルコ人にとって<ジャーヒデで遊ぶ>ことは、ちょっとしたステータスとなっているようです。
ショーは人気歌手の歌あり、ダンスのパフォーマンスあり、サーカスのような曲芸やファイヤーダンスあり…華やかな演目が続くので、普通に登場してただオリエンタルを踊っただけでは観客の興味を惹くことはできません。時にはドラァグクィーンとコミカルな掛け合いを披露したり、和装を取り入れたり、男女デュオならではの演出を取り入れたり…とくにオープニングは大げさなくらいの<仕掛け>を工夫しながら、毎回ショーの演出構成を考えていました。
―「ジャーヒデ」は、夏場は人が激減するイスタンブールからエーゲ海イズミールの
チェシメ アラチャトゥというリゾート地へ移動。こちらはさらに大きな700人キャパのハコでステージはなんと2階建て! 照明や演出も、屋外にある特設スペースとは思えないほどの豪華さでしたよ。
●酒場+クラブ…<新世代のメイハーネ>が台頭!
―いまトルコの都市部では
「イエニ ネスリ(新世代の)メイハーネ」が急増しています。
メイハーネとは、トルコ語で<酒場>という意味。もともとはラクなどのお酒を片手に食事と生演奏を楽しむ場所でしたが、<新世代のメイハーネ>ではこれにプラスして、ベリーダンスショーを見たりフォークロアを踊ったり、夜遅くなるとDJが登場してフロアがクラブと化したり…「ジャーヒデ」より手軽な料金で一晩中楽しむことができるため、とくに若い世代から大変人気があります。
―もともとあった結婚式での仕事に加え、<新世代のメイハーネ>が増えたことから、トルコではベリーダンサーの需要はますます高まっています。
ありがたいことに<ミリア&ジャネル>のデュオが浸透したことで、とくにこうしたナイトスポットでのベリーダンスは男女デュオでのショーが大半を占めるようになりました。実はイスラム教徒が9割以上を占めるトルコではゲイへの抵抗感が強く男性ダンサーが踊れる場は限られていました。それが今ではこれまでベリーダンスをやったことのない男性ダンサーが、女性のダンスパートナーを見つけて活躍しているケースも多いようです。
●トルコの夜を安全に楽しむために
―<新世代のメイハーネ>を訪れる際の注意点としては
・事前に予約が必要
・ドレスアップしていく
・男性だけでは入れない
(グループに女性1人以上いること)
etc.
最後ハライ(皆で輪になって踊るトルコのフォークロアダンス)などがはじまるとテーブルから離れることも多々あるので、荷物は最低限の量&身に着けられるコンパクトなバッグで行くことをおすすめします。
そしてベリーダンサーがテーブルへ廻ってきたら、ぜひ一緒に踊って&チップも積極的にあげてください♪ テーブルサービスもチップ制になりますが、こちらは都度ではなくまとめてお会計の時に手渡しするか、会計に上乗せする形で大丈夫です。
トルコは基本的に親切な人が多いですが、旅先で無用なトラブルを避けるには「Yes/NO」をハッキリと伝えることが大事。とくに「私も1人だから一緒に行動しない?」と観光客を装ってフレンドリーに近づいてくる人には十分ご注意くださいね。
くれぐれも安全に気をつけながら、
踊りと音楽に溢れたトルコの夜を楽しんでいただけたらと思います。