IKUYO
日本ではまだなじみの薄いトルコ民族舞踊の普及に取り組むIKUYO(イクヨ)。チームを率いて各国フェスティバルや大使館後援のイベントで引っ張りだこな彼女の原動力は「ターキッシュスタイルを極めたいから」。一見別モノに見える民族舞踊とのつながりとは?
●多くのダンス音楽のルーツは民謡にあり
-トルコの民族舞踊に興味を持ったのは、ベリーダンスをはじめて7~8年めのこと。私たちが普段踊っている曲のなかには元々トルコに昔から伝わる音楽をアレンジしたものがたくさんあると知りました。
たとえばベリーダンスの定番曲で、
女子十二楽坊が演奏して有名になった「Șehnaz Longa」はもともとトルコの古典曲。
スローなテンポで踊る<チフテテリ>は、元々はサズという2弦の民謡楽器で演奏される音楽のこと。ベリーダンスでは頭にベールを着けて踊ることもありますが、これも民族舞踊のチフテテリスタイルに影響を受けています。
―ターキッシュスタイルを学ぶため,
その後毎年のようにトルコを訪れるなかで、40~50曲の民族舞踊を学びました。
海沿いの地域には海の空気を感じる、山深いエリアには山村ならではの踊り方があります。ステップを覚えただけではしっくりこなかったものの、実際にその土地を訪れてみると「なるほど」と理解できたこともたくさんありました。
●リズム、腕、強じんな足腰…踊りの土台作りに最適
-トルコの民族舞踊は
複雑なリズムと軽快なステップが特徴。
たとえば9拍子といってもさまざまなリズムの取り方があるので、リズム感が鍛えられました。またアクセントを上で取る=飛び跳ねたり、太ももを高くあげたりしながらのステップもたくさん。これを身体に染みこむまで皆でわいわいと何度も繰り返すうちに、自然と脚力や身体のバランスを保つ力がアップしました。
―ターキッシュオリエンタルは高いヒール靴を履くので、身体の土台が安定しすると格段に踊りやすくなります。ほかにも木製のスプーンを叩きながら踊るダンスに挑戦した生徒さんは、ジルが格段に上達したんですよ。
-チームの演目のなかでも、とくにベリーダンサーに人気があるのが、優美なアゼルバイジャンの女性の踊り。ターンが多くバレエのように体幹を引き上げて踊るので、踊りの基本となる美しい所作を磨くのにも効果的なんです。
これまではトルコ人の先生に習う機会が多かったのですが、オンラインレッスンが浸透したおかげで、先日アゼルバイジャン人のプロダンサーからより細かなニュアンスやディテールまで学ぶことができました! 手首をまわしたり、柔らかく腕を動かしたり…腕のしなやかな使い方などベリーダンスのなかにエッセンスとして取り入れていきたいと思います。
●一緒に踊る仲間ができる!
-民族舞踊を学んだことで、ターキッシュスタイルへの理解が深まったことはもちろん、日本在住のトルコ人の子供にダンスを教えたり、トルコ・ギレスン市の姉妹都市(さくらんぼつながり♪)である山形県寒河江市の皆さんと交流できたり……幅広い経験ができました。
-何より民族舞踊は一人では踊れません!
もちろん常に新人メンバーを募集して定期的に練習会を開いたり、衣装を揃えたりといった苦労はあります。でも舞台につきもののハプニングをチームワークで乗りきったり、何より手をつないだり肩を組んだりして踊ったときのグルーヴ感は格別! ソロで踊るオリエンタルとはまた違う面白さがあります。