Salma
トライバルスタイルのダンサーだけでなく、オリエンタルを学ぶダンサーの間でも再び脚光を集めている「ジル」。指先でリズムを刻みながら踊るって難しそうだけど…。今回はジルの名手、矢口美香とサディアに長く師事し、自身もジルを得意とするSalma(サルマ)に、その叩き方や練習方法、パフォーマンスでの活かし方について伺いました!

●エジプト、トルコ、アメリカ…様々な形で発展した小さな楽器
―ジルはトルコ語で「シンバル」の意。
両手の親指と中指に装着してそれぞれ打ち合わせることでリズムを奏でる楽器で、英語で「フィンガーシンバル」、アラビア語で「サガット」とも呼ばれています。

―エジプトのバンドでは、
ダンサーが使うより大きなサイズのものが使われています。この写真で日本人プレイヤーのムハンマド上田トムさんが手に持っているのがまさに「サガット」ですね。

―踊りのなかでは、
エジプトのアワーレムやガワージの踊りのほか、FCBD(ファットチャンスベリーダンス)の群舞やターキッシュに起源を持つとされるアメリカンキャバレースタイルのダンサーの間で多く使われてきました。
―私の師匠のサディア(@sadiadancingphoenix)先生は、1980年代から日本にアメリカンキャバレースタイルのベリーダンスを広めた方。残念ながら2022年アメリカに帰国されましたが、まさにジルの名手で、私たちに素晴らしいパフォーマンスをたくさん見せてくださったんですよ。
―いま愛用しているジルも、サディア先生におススメいただいた『Saroyan(サロヤン)』のもので、オンラインサイトで音色を聴き比べて気に入ったものを購入しました。
ジル初心者の方であれば、残響が響くタイプではなく、小さくて軽いものが扱いやすいと思います。
40年以上前からアメリカの東海岸に工房を構えるサロヤンのジルは、ダンスの小道具というより<楽器>そのもの。クオリティの高い製品が入手しやすかったことも、アメリカのダンサーの間でジルのパフォーマンスが発展した一因ではないかと、個人的には考えています。
●上達に近道なし!コツコツ練習すればジルは必ず楽しくなる
―私の叩き方は、
最初に習った矢口美香(@mikayaguchi)先生とサディア先生のハイブリッド方式。
弾くように手の筋肉を使って「遠くまで音を届ける」矢口先生のメソッドと、リラックスした軽いタッチで「長時間叩き続けられる」サディア先生のメソッドでは音の印象がまったく違うので、それぞれの良いところを融合させたりケースバイケースで使い分けたりしています。
―叩き方こそ違えど、
二人の先生ともに
トレーニングの過程は共通していました。
●口でリズムを覚える
↓
●口三味線に合わせて指でリズムを刻む
↓
●リズムを刻みながら足踏みやステップを踏んでみる
日本の住宅事情では実際にジルを鳴らすのはなかなか難しいと思いますが、練習する際はエアギターならぬ<エアジル>で十分!
電車やバスのなかで、
自宅でテレビを見ながらetc.
コツコツ練習を続けていくと、
ある時不意に手が
<自動再生>モードに入った!
と感じる瞬間がやってきます。
いったん脳と指の筋肉がつながると
リズムをアレンジしたり
新しい叩き方に出会ったり
アイソレーションと組み合わせたりと、
難しいことを
ひとつずつクリアしていく楽しみも生まれます!
●ショーのアクセントに◎!場の雰囲気を変える生音ならではの音圧
―ジルの好きなところは、
いい意味で「うるさい」ところ(笑)。
おしゃべりに夢中なお客さまで
店内が賑やかなときは、
【ショーが始まる合図】
としてジルを叩きながら登場したり。
さらにベールワークと
組み合わせたりすると
【エントランス】
をより一層華やかに演出することができます。

―ジルはやはり音が大きいので、
オリエンタルの曲で叩きながら踊るのであれば
・Zeina
・Aziza
・Sawwah
といった明るめの曲調のものが合うと思います。
―生音ならではの音圧で
場の空気をガラッと変えられるから、
とくにレストランショーではお客さまとコミュニケーションを取る際の<ツール>として大活躍!
たとえば、
こっそりブラの間に隠し持っていたジルでお客さまを驚かせたり、ディスコタイムでお客さまのダンスを盛り立てたり。
過去に一度、照れてダンスを見てくれないお客さまの頭上でわざとジルを叩いたら、会場は大ウケ。場の空気が一気に和んだこともありました。
サプライズの演出で使う時は
手際よくジルを装着するための工夫も重要!
親指用と中指用とでは
ゴムのサイズが違うので、
取り違えてしまわないよう
中指用のゴムに小さな目印をつけています。
何より大切なのが、
ジルを付ける瞬間も
「お客様に見られている」
という意識を忘れないこと。
私は手元を見なくてもサッと指を差し込めるよう、ジルを手に取った際にあらかじめゴムの位置を把握しておくようにしています。こうするとわざわざ目でゴムを確認したり、もたついたり落としたりすることなくスムーズにジルを装着できますよ。
―今年頭からは
表現の幅を広げたくて、
GONGONさんをリーダーとした、ATSのジルの練習会に参加しています。
GONGONさん愛用のジルは、
私のジルより一回り大きく重量もあって驚きました! また普段私はジルに指が極力触れないように叩きますが、トライバルスタイルでは、ジルに薬指を添えて叩くようですね。リーダーの合図で叩き方を揃えていくのもまた、オリエンタル×ソロとは違う発見があって面白いです♪












